#0003 働き方や休み方に対する高い裁量度は筋骨格系疾患による病欠を軽減できます

産業保健活動/産業保健職

働く人々に働き方や休み方に対する裁量度(ワークタイム・コントロール)を確保することの重要性


 疾病による休業は、人の健康に非常に大きなネガティブな影響を与える可能性があり、病欠が長期間にわたって発生した場合、働く人々の罹患率や死亡率の予測因子になると考えられています。さらに、疾病休業は国の医療システムに多大な経済的負担をかけて、組織の生産性を低下させます。したがって、コストを削減し、生産性を確保するために、会社組織は働く人々の健康を確保するための方針を作る必要があります。そのアプローチの1つとして、働く人々に十分なワークタイム・コントロールを確保することがあげられます。これにより、従業員個々人は働く時間や配分に裁量をもって働くことができるようになります。いくつかの研究によれば、これにより従業員の精神的疲労が軽減され、身体的な健康障害の発症が予防されることが示唆されています。

柔軟な勤務スケジュール、休憩取得、バケーション取得ができる職場文化の創造を!


 ただし、ワークタイム・コントロール(つまり、働く時間や配分、休憩取得に対する働く人々自身が持つ裁量度)と特定の病気に関連する欠勤との関連性を検討した研究は限られています。この問題を明らかにするために、スウェーデンとフィンランドの研究者チームは、高レベルのワークタイム・コントロールが長期的に筋骨格系または精神障害によって引き起こされる病欠のリスクを低下させるかどうかを調査しました。彼らの研究チームでは病欠に対して脆弱な特定のグループがワークタイム・コントロールを行使することで利益を得るかどうかも調べました。


 7年間の追跡調査により、22,599名のフィンランド人の労働者を対象とした彼らの調査では、より高いレベルのワークタイム・コントロールが筋骨格系障害による疾病休業の減少と関連していることを明らかにしました。しかし、以前の研究とは異なり、このような関連性はワークタイム・コントロールと精神障害による疾病休業との間では明らかになりませんでした。

 さらに、40歳以上の労働者ではワークタイム・コントロールによる恩恵を最も受けていて、筋骨格系障害による疾病休業のリスクが低くなりました。しかしながら、このようなワークタイム・コントロールによる恩恵は、40代以上だけでなく、長期的には若い労働者にもみられ、筋骨格系障害による疾病休業を発症するリスクを軽減する可能性もあります。


 これらの調査結果は、雇用主が従業員に対して、柔軟な勤務スケジュール、休暇中の自律性、および必要に応じて休憩取得ができる職場の文化を構築することで従業員の健康と幸福につながることを示唆しています。



 


元のジャーナル記事へのリンク:
https://doi.org/10.1002/1348-9585.12181


この記事のタイトル:
Association of work-time control with sickness absence due to musculoskeletal and mental disorders: An occupational cohort study


著者:
Sophie Charlotte Albrecht, Constanze Leineweber, Anneli Ojajärvi, Tuula Oksanen, Goran Kecklund, Mikko Härmä


DOI:
10.1002/1348-9585.12181

この記事は、クリエイティブ・コモンズ表示-非営利ライセンスの条件に基づくオープンアクセス記事であり、元の作品が適切に引用され、商業目的で使用されていない限り、あらゆる媒体での使用、配布、および複製を許可します。
7
Share this article.

Related article